妊娠を希望する段階から、妊娠中・産後まで、甲状腺ホルモンの状態を継続して確認することが大切です。
うるうクリニック港南台では、妊娠・不妊と甲状腺の関係を専門的に評価し、安心して妊娠・出産を迎えられるようサポートします。
妊娠と甲状腺の関係
甲状腺ホルモンは、代謝や体温の調整だけでなく、妊娠の成立や赤ちゃんの発育にも関わる大切なホルモンです。
妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が増えるため、橋本病・バセドウ病などの甲状腺疾患がある方は、妊娠前から状態を確認しておくことが大切です。
また、甲状腺ホルモンの値は正常でも、甲状腺に負担がかかっている「潜在性甲状腺機能低下症」が、不妊や流産のリスクに関係することがあります。
自覚症状が少ない場合もあるため、妊娠を希望している方や妊娠中に異常を指摘された方は、早めに甲状腺機能を確認しましょう。

妊娠中の甲状腺ホルモン管理
妊娠中は、お母さんの甲状腺ホルモンが赤ちゃんの発育、とくに脳や神経系の発達に重要な役割を果たします。
妊娠初期から中期にかけては、赤ちゃん自身の甲状腺機能がまだ十分に発達していないため、お母さんから胎盤を通して供給される甲状腺ホルモンに大きく依存しています。
そのため、妊娠中の甲状腺機能低下症や橋本病では、通常よりも厳密な管理が必要となります。
当院では、妊娠中の甲状腺機能を次のような点に注意しながら管理しています。
- 妊娠25週頃までは、TSH 2.5μU/mL未満を目標として管理します。
- 妊娠後期は、TSHが目標範囲内でもFT4(遊離サイロキシン)が低下することがあるため、TSHだけでなくFT4もあわせて評価します。
- チラーヂンSを服用中の方では、妊娠により必要量が20〜50%程度増加し、妊娠判明後に増量が必要となる場合があります。
- 妊娠がわかった際は、自己判断で薬を中止せず、早めのご相談をおすすめしています。
妊娠・不妊と甲状腺の症状
甲状腺機能低下症の症状
- 疲れやすい・だるい・むくみ
- 体重増加・寒がり
- 気分の落ち込み
甲状腺機能亢進症の症状
- 動悸・息切れ・手のふるえ
- 体重減少・多汗
- イライラ・不眠
産後1〜2か月頃に「無痛性甲状腺炎(痛みを伴わない甲状腺の炎症)」を発症することがあります。動悸・疲れやすさが症状ですが、育児の疲れと重なるため気づきにくい場合があります。
甲状腺異常が進行すると起こりうること
甲状腺機能異常を管理せず妊娠した場合、流産・早産・妊娠高血圧症候群・胎児の発育不全などのリスクが高まる可能性があります。甲状腺機能を妊娠前から適切に管理することで、安全な妊娠・出産につながる可能性が高まることが期待できます。

当院の診断方法
血液検査
血液検査では、甲状腺ホルモンの量や、甲状腺を調整するホルモン、甲状腺に関わる抗体を確認します。
必要に応じて、FT3・FT4・TSH・甲状腺抗体を測定します。
甲状腺エコー検査
首元に超音波をあてて、甲状腺の大きさや状態を確認します。放射線を使わない検査のため、妊娠中でも受けていただけます。
当院の治療アプローチ
橋本病の方
妊娠前から、TSH(甲状腺への指令ホルモン)の目標値に合わせて甲状腺機能を管理します。
必要に応じて、チラーヂンS(甲状腺ホルモンを補う薬)を使用します。チラーヂンSは、妊娠中・授乳中も安全に服用できます。
バセドウ病の方
妊娠初期は、使用する薬に注意が必要です。
妊娠5週〜16週頃はメルカゾールを避け、プロパジール(甲状腺ホルモンを抑える薬)を使用します。妊娠前から、薬の種類や量を計画的に調整することが大切です。
産後
出産後も、甲状腺機能のチェックを継続します。
橋本病の方は、産後に無痛性甲状腺炎(痛みがないまま甲状腺ホルモンのバランスが一時的に乱れる病気)を起こすことがあるため、動悸・疲れやすさなどが続く場合は早めにご相談ください。