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妊娠と糖尿病について

妊娠中の高血糖の影響

妊娠中、お母さんの血糖値が高いと、お母さん、赤ちゃんともに負担がかかります。

具体的に、お母さんへの影響としては流産、早産、妊娠高血圧症候群などがあります。

また、赤ちゃんへの影響としては奇形や巨大児、未熟児、出産時に低血糖や高ビリルビン血症といった症状が出ることがあります。将来的に子供が肥満になりやすいともいわれています。

妊娠中の血糖値について

妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン(血糖を下げるホルモン)の効きが悪くなります(インスリン抵抗性)。このため、血糖値を正常に保つために必要なインスリンが増えてきます。この影響は妊娠週数が進むにつれて進み、より血糖値が上がりやすくなります。

妊娠中の高血糖には、妊娠前から糖尿病がある場合(糖尿病合併妊娠)と妊娠してから初めて糖尿病が発症する場合(妊娠糖尿病)があります。糖尿病合併妊娠に関しては、妊娠前に糖尿病がわかっていれば、妊娠までに血糖コントロールを良好にたもち、計画妊娠することに尽きます。日本糖尿病学会の推奨では、妊娠前のHbA1cの目標は7.0%未満となっていますが、妊娠後はさらに厳格なコントロールが求められます。

妊娠糖尿病の診断

さて、以後は、妊娠糖尿病にフォーカスして解説をしていきます。

妊娠糖尿病の診断は、妊娠初期〜中期(28週まで)の血糖検査で100mg/dlの場合にブドウ糖負荷検査(75gOGTT)を行い、以下の基準の1点以上を満たした場合に診断確定となります。糖尿病の診断基準よりも厳しくなっています。
 ①空腹時血糖値≧92mg/dL
 ②1時間値≧180mg/dL
 ③2時間値≧153mg/dL

妊娠糖尿病の治療

そして、妊娠中はお母さん、赤ちゃんの双方のためにも血糖値を普段より厳密にコントロールする必要があります。管理目標は空腹時血糖値70~100㎎/dL, 食後1時間値140㎎/dL, 食後2時間値140㎎/dL未満を理想としています。治療は糖尿病の治療と同じように大きく分けて食事療法、運動療法、薬物療法があります。

<食事療法>

食事療法は非常に大切です。ただ、お母さんと赤ちゃんのために必要な栄養素やカロリーは摂取する必要があります。適切な食事のカロリーや、妊娠期間中の目標となる体重増加については個別に計算が必要です。

1日のトータルの食事カロリーや栄養素は同じままで1回の食事量を減らし、食事の回数を増やすという食事指導(分食)をお勧めする場合があります。

<運動療法>

散歩や体操は血糖値を下げることに効果があります。ただし、お腹が張る場合や痛くなる場合、運動を積極的に行わない方がいい方もいます。産婦人科の医師ともよく相談してください。 

<薬物療法>

適切な食事療法で改善しない場合、インスリンの注射による治療が必要です。糖尿病の飲み薬やインスリン以外の注射製剤を使用している方は、原則インスリンへの切り替えが必要です。インスリンの中でも、妊娠中の使用の安全性がほぼ確立しているものと、そうでないものがあります。

インスリンは食後の高血糖をおさえるタイプと食前や全体の血糖値を下げるタイプの2種類のインスリンがあります。

また、自宅での血糖値を測定していただく場合もあります。その場合は血糖測定をする機械をお貸しします。

妊娠糖尿病の分娩後も定期的な通院を

妊娠糖尿病の多くの方は分娩後は血糖値が正常に戻ります。しかし、その後の将来に2型糖尿病を発症するリスクは血糖が正常だった妊婦さんに比べて7倍以上です。そのため、分娩後も、太りすぎないように栄養管理することが大事です。また、産後は数ヶ月以内にブドウ糖負荷検査(75g OGTT)による糖尿病のチェックをおすすめしています。

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