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亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は、のどの奥にある「甲状腺(こうじょうせん)」という臓器が一時的に炎症を起こし、痛みや発熱、動悸(どうき)などの症状があらわれる病気です。ウイルス感染(風邪など)の後に起こることが多く、自己免疫や細菌感染とは異なり、他人にうつることはありません

多くは数週間~数か月で自然におさまる一過性の病気ですが、適切な治療と経過観察が大切です。

主な症状

  • 首の前側の痛み(片側または両側)
     → 特に触ると痛く、飲み込みにくいこともあります。

  • 発熱(38℃前後)

  • 疲れやすさ、だるさ

  • 動悸・息切れ・手のふるえ(甲状腺ホルモンが一時的に増えるため)

  • 一時的な体重減少や寝汗

症状は人によって異なりますが、発症から数週間は強い炎症反応がみられ、その後徐々におさまっていきます。

原因

亜急性甲状腺炎のはっきりした原因は不明ですが、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染の後に免疫反応が甲状腺を刺激することで炎症が起こると考えられています。季節の変わり目(特に秋や春)に多くみられ、30~50代の女性に多い傾向があります。

診断

以下の検査を総合的に判断して診断します:

  • 血液検査:炎症の程度(CRP、白血球)や甲状腺ホルモン(FT3、FT4、TSH)の値

  • 甲状腺エコー検査:甲状腺に低エコー領域(炎症のある部分)が見られる

  • 触診:甲状腺の腫れや圧痛を確認

バセドウ病など他の甲状腺疾患との区別が重要です。

治療

多くの場合、数週間〜数か月で自然に治る病気ですが、症状を軽くするために以下の治療が行われます:

🔹 鎮痛・抗炎症薬(NSAIDs)

→ 首の痛みや発熱が強い場合に使用。

🔹 ステロイド(プレドニゾロン)

→ 痛みや炎症が強い場合や、NSAIDsで改善しない場合に使用します。症状に応じて徐々に減量しながら数週間〜数か月かけて服用します。

🔹 β遮断薬(例:メトプロロール)

→ 動悸・手のふるえなどの症状が強い場合に使用されることがあります。

経過と注意点

  • 通常は1〜3か月で治癒しますが、稀に再発や一時的な甲状腺機能低下がみられることがあります。

  • 一時的に甲状腺ホルモンが過剰になったあと、一過性の低下(甲状腺機能低下症)に移行することがあるため、数か月間の経過観察が必要です。

  • ステロイド治療中は、急に薬をやめないこと(医師の指示で漸減)が大切です。

亜急性甲状腺炎のよくあるご質問(FAQ)

Q. 症状がつらくて眠れません。自宅でできる対処法はありますか?

A. 首の痛みや発熱がつらいときは、市販の解熱鎮痛薬(例:ロキソニン、カロナール)を一時的に使用しても構いません。ただし、長引く場合や改善しない場合は、必ず医師の診察を受けてください。首周りを冷やすと楽になる方もいます

Q. 仕事や学校は休んだほうがいいですか?

A. 発熱や全身のだるさがあるうちは、無理をせず休養をとることをおすすめします。無理をすると回復が遅れることもあります。症状が落ち着いてきたら、少しずつ普段の生活に戻ってかまいません。

Q. どれくらいで治りますか?

A. 通常は1〜3か月で自然に改善することが多いですが、痛みや発熱は2週間ほど続くことがあります。ステロイドなどの治療を行った場合でも、症状に応じて薬の調整が必要なため、定期的な通院が重要です。

Q. 一度かかると、また繰り返すことはありますか?

A. 多くの人は1回きりで再発しませんが、まれに数年以内に再発するケースもあります。再発しても、初回と同様の治療で回復することが多いです。

Q. 甲状腺の「しこり」や「がん」とは違うのですか?

A. はい、亜急性甲状腺炎は一過性の炎症で、腫瘍やがんではありません。エコー検査などで必要に応じてしこり(結節)との区別を行いますが、がんとはまったく異なる病気ですのでご安心ください。

Q. 甲状腺ホルモンが高いといわれました。バセドウ病ですか?

A. 亜急性甲状腺炎では、一時的に甲状腺ホルモンが過剰になる「甲状腺中毒症」になることがありますが、これは炎症によって一時的にホルモンが漏れ出している状態で、バセドウ病とは原因も治療も異なります。

Q. ステロイドの副作用が心配です。やめてもいいですか?

A. ステロイドは自己判断で急に中止してはいけません。リバウンド(再燃)を防ぐために、医師の指示のもとで徐々に減量する必要があります。

Q. 痛みがなくなったら通院はやめてもいいですか?

A. 痛みが改善しても、甲状腺機能が一時的に低下する「第2期」が数週間〜数か月後に来ることがあります。血液検査での経過観察が必要なため、医師の指示に従って定期的な通院を続けましょう。

Q. 妊娠中または授乳中でも治療はできますか?

A. 妊娠中や授乳中でも、病状に応じた治療が可能です。ただし、使用できる薬剤が限られる場合があるため、妊娠の可能性がある方や授乳中の方は、必ず医師にご相談ください。

Q. 家族にうつりますか?

A. いいえ、感染性の病気ではないため、人にうつることはありません。

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