男性更年期(LOH)症候群
男性更年期障害とは
男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状のことでLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれています。 テストステロンの量は10代前半から増加し、20歳頃にピークに達し、その後は加齢とともに減少していきます。
ところが、何らかの原因でテストステロンが低下し過ぎると、倦怠感や勃起障害(ED)など、様々な心身の不調をきたします。その他の症状としては、のぼせ・多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、骨密度低下、頭痛・めまい・耳嶋り、頻尿などの症状や、精神症状としては、不眠、無気力、イライラ、性欲減退、集中力や記憶力の低下などとともにうつ症状が出る場合もあります。さらに、メタボリックシンドローム、心筋便塞、脳梗塞などの生活習慣病のリスクが高まるとも言われています。
男性更年期障害の症状
男性ホルモンの減少によって、身体、精神、性機能の症状が現れます。
身体症状
- 関節痛、筋肉痛
- 疲労感、倦怠感
- 発汗、ほてり
- 肥満、メタボリックシンドローム
- 頻尿
精神症状
- イライラ
- 不安、パニック
- うつ
- 不眠
- 興味や意欲の消失
- 集中力・記憶力の低下
性機能症状
- ED
- 性欲低下
男性と女声の更年期の違い
女性の更年期障害が、閉経する50歳前後で発症し、5年ほどで症状が軽快するのに対して、男性におけるLOH症候群は40代後半から見られ、50~60代で最も多く発症した後は、長期的に症状が持続します。
男性 | 女性 | |
原因 | 男性ホルモン(テストステロン)の低下 | 女性ホルモン(エストロゲン)の低下 |
時期 | 40歳代以降いつまでも | 閉経前後5年(50歳前後) |
期間 | 永続的 | 閉経後5年ほどで症状軽快 |
男性更年期障害の診断
症状
加齢に起因すると考えられる身体的症状(倦怠感、疲労感、筋肉痛、関節痛、筋力低下、体脂肪増加等)、精神症状(うつ傾向、記憶力・集中力の低下)、性機能症状(ED、性欲低下)がある。
問診
AMSスコア(加齢男性症状調査表)で、リスク評価をします。
検査
血液検査で総テストステロン値を測定。2.5 ng/dL未満なら男性更年期症候群の確定診断となります。2.5 ng/dL以上の場合は、再度血液検査を行い、遊離テストステロン値を測定し7.5 pg/mL未満なら男性更年期症候群の確定診断となります。遊離テストステロン値 7.5 pg/mL以上でも、臨床経過と症状を総合的に判断して、確定診断となる場合もあります。
男性更年期障害の治療
生活習慣の改善と並行して、アンドロゲン補充療法(ART)を行います。ARTの方法としては、経口剤、注射剤、皮膚吸収剤がありますが、本邦では注射剤エナント酸テストステロンのみが保険適応となっています。ARTにより、筋肉量、筋力、骨密度、インスリン感受性、気分性欲、健康感の改善が認められます。当院では2週間毎のARTをおすすめしています。