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高血圧

日本における高血圧の患者さんの数は約4,300万人と推定されています。

そのうち治療を受け血圧コントロールが良好な患者さんは約1,200万人で全体の30%未満です。

高血圧をお持ちでありながら病院を受診せず治療を行っていない潜在的な患者さんが非常に多いと推測されます。

高血圧は脳卒中や心筋梗塞、心不全の明らかなリスク因子ですので、そのような重い病気の予防のためにしっかりと血圧管理を行う必要があります。

ここでは高血圧の診断基準や主な治療法についてご紹介いたします。

 

【診断】

診察室で測定した血圧で140/90 mmHg、家庭で測定した血圧で135/85 mmHg以上で高血圧と診断されます。

治療目標はそれぞれ130/80 mmHg未満、125/75mmHg未満です。

 

降圧薬をお飲みになっているにも関わらずご自宅で血圧を測らない患者さんがいらっしゃいますが、病院を受診したときに測る血圧よりも家庭血圧の方が将来の臓器障害や心疾患の発症と強く関連するというエビデンスがあり、ご自宅で血圧をチェックすることが大切です。

75歳以上の高齢者では治療目標が下がり家庭血圧135/85 mmHg未満となりますが、糖尿病や腎臓病を合併している患者さんは高齢であっても血圧をしっかり下げる必要があります。

 

【治療】

高血圧の治療目標は血圧を下げ心血管疾患(脳卒中、心不全、心筋梗塞など)を予防することです。

 

お薬を使って早急に血圧を下げなくてはならない状況でなければ、まずは塩分制限などの食事療法と運動療法に取り組みます。

カリウムはナトリウムの血圧上昇作用を抑えるので野菜や果物から十分なカリウムを摂りましょう。

習慣的な喫煙と過剰な飲酒は血圧を上げるため、禁煙や節酒も必要です。

生活習慣を改善しても治療目標を達成できない場合、降圧薬による薬物療法を行います。

 

カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、利尿薬、β遮断薬という5種類のお薬はいずれも心血管疾患の発症を抑えるエビデンスがあります。

例えば、狭心症をお持ちの患者さんは、それぞれ血管を拡げる作用と心臓の負荷を抑える作用を持つカルシウム拮抗薬とβ遮断薬を第一選択薬に使い、糖尿病をお持ちでタンパク尿がある方はARBを第一選択薬に使うなど患者さんの病態に適した降圧薬を使いますが、基本的にはこの5種類のお薬を組み合わせて血圧コントロールを行います。

 

治療の効果判定のために血圧測定を行います。

家庭血圧は起床時と就寝時、1日2回測定することが推奨されます。

通常寝ている間に血圧は下がりますが(dipper型)、夜間の血圧が日中より高い(riser型)と心不全のリスクが高くなることが分かっています。

riser型の患者さんは正常なdipper型の人と比べて心不全リスクが2.45倍になると報告されています。

 

人間の血圧は一定ではなく一日の中で変動しますが、高血圧の患者さんは血圧の変動が大きく血管にストレスがかかります。

ウェアラブルデバイスなどを利用して24時間血圧をモニターし、血圧変動を小さくする治療の開発が期待されています。

 

<参考文献>

高血圧治療ガイドライン2019

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