薬物療法
生活習慣の改善だけではコレステロールが下がらない場合や、動脈硬化のリスクが高い場合、薬物療法が推奨されます。
- スタチン
スタチンは、肝臓でコレステロールを作る酵素(HMG-CoA還元酵素)を抑制することで、血中のLDLコレステロール(LDL-C)値を低下させます。LDL-Cを減らす薬の中で、最も広く使われます。内服することによって、長期的な動脈硬化合併症を予防できる明らかなエビデンスが確立しています。スタチンには、スタンダードスタチンとストロングスタチンという2つのタイプがあります。それぞれ、LDL-Cの低下効果は約20%、約30〜40%程度です。用量を倍に増量しても、LDL-Cの低下効果は劇的に増えるわけではなく、追加の低下効果は約6%程度にとどまります。この現象は、「6%ルール」と呼ばれています。
- エゼチミブ
食事から吸収されるコレステロールの量を減らすことでLDL-Cを低下させます。LDL低下効果は約15~20%で、これはスタチンと併用でも同等です。従って、スタチン単独でコントロールがしきれない場合に、併用で使うことが多い薬です。 - PCSK9阻害薬
家族性高コレステロール血症および冠動脈疾患の再発予防などの、心血管リスクの高い高コレステロール血症において、スタチンを含む他の薬では十分にLDLコレステロールが下がらない場合に使います。効果は劇的で、単独で40〜60%、スタチンと併用でさらに80%以上のLDL-C低下が期待できます。2〜4週間に1回、皮下注射での投与が必要です(在宅自己注射)。
- フィブラート
中性脂肪を減少させる薬で、特に高トリグリセリド血症の治療に有効です。