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糖尿病

糖尿病とは、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が慢性的に高い状態をいいます。

血糖値は、健常人では24時間常にほぼ一定に保たれており、高くても140mg/dlを超えることはありません。しかし、糖尿病の方は、膵臓から分泌されるインスリンの効果が不十分であることから、高血糖状態になり、これによって様々な合併症(神経障害、網膜症、腎症、動脈硬化症など)を引き起こし、生活の質を著しく下げるだけでなく、最悪の場合は、死に至る危険な病気です。早めの治療・対策が必要です。

糖尿病の分類

糖尿病は、その成りたちによっていくつかの種類に分類されますが大きく分けると、1型糖尿病、2型糖尿病、その他の特定の機序、疾患によるもの、そして妊娠糖尿病があります。

1型糖尿病は、ウイルス感染や自己免疫により、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されておきる糖尿病で、全体の5%以下を占めます。

2型糖尿病は、遺伝素因にくわえて、食べ過ぎ、運動不足、ストレスが加わって発症する糖尿病で、90%以上を占めます。妊娠糖尿病は女性における軽い2型糖尿病と言うことができます。妊娠後に初めて高血糖になり、分娩後は基本的には正常に戻りますが、その後2型糖尿病に移行することがあります。

その他の特定の機序・疾患による糖尿病は、実に様々な原因に伴う糖尿病です。もともとの持病(肝疾患、膵疾患など)や、それに対する薬剤治療(ステロイドなど)、もしくは遺伝子異常による糖尿病もこれに分類されます。

参考:糖尿病診断基準に関する調査検討委員会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版). 糖尿病55:491, 2012より

1型糖尿病

膵臓のβ細胞が破壊されてしまうために、インスリンが絶対的に不足してしまう病気です。自己免疫の異常やウイルス感染が原因となることが多いです(自己免疫性:Type 1A)が、原因がわからないこともあります(特発性: Type 1B)。

典型的には急激に発症しますが、何年もかけてゆっくり進行・発症する場合もあります。いずれにしても時間の経過とともにβ細胞の破壊は進むため、インスリンを補う治療が必要となります。

1型糖尿病は進行・発症のスピードによって、劇症、急性発症、緩徐進行の3つに分類されます。

 

急性発症1型糖尿病

急性発症1型糖尿病では、高血糖症状が始まってから3ヵ月以内にケトーシスやケトアシドーシスに至り、直ちにインスリン療法が必要となります。

発症後、一時的にインスリン治療を必要としなくなる時期が存在する場合があります(ハネムーン期)。

緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)

緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)は、発症時は食事療法や内服療法で血糖コントロールが可能なインスリン非依存状態の時期があるため、2型糖尿病と診断されることがあります。が、時間経過とともにインスリン分泌が低下し、インスリン依存状態に移行します。インスリン導入が必要なタイミングを見逃さないよう、当院では定期的な血液検査でインスリン分泌の程度を確認します。

 

 劇症1型糖尿病

血糖値が高くなり始めてから数日で急激に悪化してケトーシス、ケトアシドーシスに至ります。他に、以下のような特徴があります。

  • 発症する90%以上が20歳以上。
  • 約70%の患者さんで直前に風邪(発熱)の症状がある
  • 妊娠後に発症した1型糖尿病のほとんどは劇症1型糖尿病。
  • 原則、膵島関連抗体は陰性。

また最近では、免疫チェックポイント阻害薬である抗ヒト PD-1/PD-L1 抗体に関連して発症することが報告されています。特に、既に糖尿病で治療中の患者さんが免疫チェックポイント阻害薬を使用する場合は、血糖が増悪した場合に診断を見誤らないよう注意が必要です。

2型糖尿病

糖尿病の多くのタイプが2型糖尿病です。糖尿病になりやすい遺伝的な体質に、肥満や運動不足などの生活習慣が加わって高血糖になります。遺伝的体質による影響が強い場合もあり、非常に個人差が大きいため、当院では生活習慣病という言い方はしません。

そもそも、インスリンは肝臓、筋肉、脂肪細胞など多くの臓器・組織に作用して、血糖を取り込ませたり、貯蔵した血糖を分解するのを抑えたりして血糖値を絶妙にコントロールしています。この作用が不足すると高血糖になります。2型糖尿病におけるインスリンの作用不足は、「インスリン分泌障害」と「インスリン抵抗性」の2つの組み合わせによって起こります。

2型糖尿病では、肥満や筋肉不足、脂肪肝などが各組織でインスリン抵抗性を引き起こして高血糖の原因になります。食事・運動療法で肥満や筋肉不足を解消しながら、必要に応じてインスリン抵抗性改善薬を併用するのが肝要です。しかし、基本的にはインスリン分泌障害が背景にあります。健康な人ではインスリンは食事摂取とほぼ同時にインスリンの追加分泌が始まり、血糖は食後もほぼ横ばいに推移しますが、2型糖尿病の前段階~初期では、食事摂取後のインスリン分泌の立ち上がり遅く、その後ダラダラと出続けてしまうのが特徴です(遅延過剰分泌)。さらにインスリンの分泌障害が進むと、追加分泌のピークが落ちてきて、食後の血糖値が上昇してきます。しかし、この時点では食前の血糖値はまだ正常範囲のため、空腹時採血しかやらない健康診断では、異常が見つかりません。より早期に糖尿病を発見するためには、糖負荷試験をやる必要があります。

糖尿病が発症した後、個人差はありますが、インスリン分泌障害はさらに進みます。食事とは無関係に分泌されるインスリン(基礎分泌)まで低下してしまうと、空腹時血糖も高くなり、健診で発見されることになります。

糖尿病合併症

糖尿病は、血糖コントロールをきちんと行えば、全く問題はありません。

ところが、高血糖状態が長く続くと、神経や目、腎臓などに障害を起こします(細小血管合併症)。

糖尿病性神経障害(し) 

糖尿病の細小血管障害の中で、最初に起こることが多いのが神経障害です。末梢神経が障害されると、手足のしびれや痛み、こむらがえりなどの症状が出てきます。また、温度や痛みの感覚が鈍くなることもあり、糖尿病足壊疽の原因になります。その他、胃腸障害(便秘、下痢)、調節性障害(めまい、立ちくらみ)、男性機能低下(ED)といった自律神経障害が起こることもあります。このような症状に対して治療薬はありますが、多くは対症療法であり、また効果も限定的です。普段からの血糖コントロールが何より重要です。

 糖尿病性網膜症(め)

網膜症が進行すると、眼底出血をおこし視力低下の原因となります。最近は緑内障を抜いて、日本人の失明の原因の第一位になっています。

また、網膜症がたとえ初期でも、網膜の浮腫によって視力障害が進むことがあります。定期的な眼科診察がとても大事です。

糖尿病性腎症(じ)

たんぱく尿が出始め、その後徐々に腎臓機能が低下しにより全身のむくみや血圧の上昇を生じます。さらに進行すると血液透析が必要になることがあります。現在、日本人の透析導入の第一位が糖尿病性腎症です。たんぱく尿が出始める前の段階から、予防を始めることが大事です。予防のポイントは4つあります。

  • 血糖コントロール
  • 血圧コントロール
  • 減塩
  • 腎保護薬物療法(RA系阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP1受容体アゴニスト)

治療

  • 2型糖尿病では、食事運動療法が基本になります。当院では、PHR「シンクヘルス」を活用して、ご自宅の食事記録を医師、栄養士と随時共有することができます。
  • 1型糖尿病や、インスリン依存状態にある2型糖尿病はインスリン補充療法が必要です。理想的には、生理的なインスリン分泌パターンを再現することであり、頻回のインスリン自己注射が必要になることもあります。それぞれの患者さんのインスリン分泌能やライフスタイル、ご希望も聴取しながら、その方のベストな方法を相談しましょう。当院では、インスリンポンプ療法の外来導入も行っています。
  • インスリンの分泌障害が軽度であれば、週1回のGLP1アナログ注射や内服薬といったやり方もあります。
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