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橋本病(慢性甲状腺炎)

甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気で慢性甲状腺炎とも呼ばれ、自己免疫性疾患の一つです。炎症の結果、甲状腺ホルモンのバランスが悪くなる場合があります。成人女性の約7~8人に1人が橋本病の素質をもっています。橋本病における甲状腺機能は、6割は正常ですが、4割は低下または一時的に上昇することがあります。

症状

機能低下の場合は、なんとなく元気が出ずに、朝起きづらい、仕事が手につかないなどの症状や、下のように様々な症状をきたします。

首が腫れる 気力が出ない
食欲がない 体重増加
寒がり 声がかすれる(嗄声)
顔や手足が浮腫む 便秘
皮膚が乾燥する 抜け毛が増える
不妊  流産

橋本病の診断
  • びまん性甲状腺腫大
  • 超音波で甲状腺のエコー輝度低下
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値
  • 橋本病関連抗体価陽性
橋本病の検査

血液検査でTSHと甲状腺ホルモン(FT3、FT4)を調べます。脳下垂体がTSHを分泌し、この刺激によって甲状腺がFT3、FT4はTSHの刺激(調節)を受けて、甲状腺から産生されます。

橋本病の治療

甲状腺ホルモンの補充療法を行います。最もよく使う薬が「レボサイロキシン(一般名)」というホルモンです。少量から始め、TSHが正常値になるまで増量していきます。

妊娠と甲状腺

甲状腺機能低下症は、不妊や流産、早産、妊娠高血圧症候群などのリスクになります。妊娠前から甲状腺機能を正常に保つことが重要です。

妊娠すると甲状腺ホルモン必要量は約1.5倍に増えます。そのため妊娠後に甲状腺ホルモン薬を開始したり、用量調整したりする必要があります。

甲状腺機能の管理は、TSHを指標に行います。
  • 妊娠前~妊娠初期(13週)はTSH<2.5μU/ml、妊娠中期以降(14週~)はTSH<3.0μU/mlが目標です。
  • TSH値が2.5μU/ml以上であれば、甲状腺ホルモン薬(レボサイロキシン)を服用します。妊娠中、授乳中の服用も問題ありません。
  • TSH値が2.5μU/ml未満でも、甲状腺自己抗体(抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体)が陽性の場合は、甲状腺ホルモン薬を服用することもあります。
  • 妊娠したら4~6週で受診し、甲状腺機能をチェックしましょう。30週前後にも甲状腺機能をチェックします。
分娩後は
  • 分娩すると、甲状腺ホルモンの必要量は妊娠前の状態に戻ります。そのため、分娩後は甲状腺ホルモン薬を減量または中止することが多いです。
  • また、産後に、約4~6割の方に甲状腺機能の変動がみられ(無痛性甲状腺炎)、産後の体調不良の原因になることがあります。
  • このため、産後も定期的なフォローを行います
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