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原発性アルドステロン症

副腎という腎臓の上にある小さな臓器は人間が生きるために必要不可欠なホルモンを分泌します。

そのうちの一つがアルドステロンというホルモンで水分・塩分を体の中に保ち血圧を調整しています。

このアルドステロンが過剰に分泌されてしまう病気が原発性アルドステロン症です。副腎の腫瘍が原因となります。

原発性アルドステロン症は二次性高血圧(原因が特定できるもの)の代表的な病気で高血圧患者さんの数%~10%以上を占めると言われています。本態性高血圧(原因が特定できないもの)の患者さんよりも脳卒中や心不全を起こしやすいと言われており、なかなか血圧が下がらない方は原発性アルドステロン症ではないか検査を受けましょう。

【症状】

血圧が上がります。

過剰なアルドステロンの作用によりナトリウムが体の中に溜められることで血圧が上昇し、カリウムが排出されることで低カリウム血症を起こします。

高血圧以外に脱力感、筋力低下、尿量の増加、不整脈を起こすことがあります。

また、睡眠時無呼吸症候群(※サイト内リンクお願いします)を合併することもあります。

【診断】

以下の項目に当てはまる高血圧患者さんは詳しい検査を受けた方が良いです。

・血圧の薬を4種類以上飲んでいる

・血圧の薬を3種類以上飲んでいるが血圧が下がらない

・血液中のカリウムの値が低い

・睡眠時無呼吸症候群がある

・本人または家族(血縁者)の中に40歳未満で高血圧、あるいは脳卒中を発症した者がいる

・家族に原発性アルドステロン症の者がいる

・最初に高血圧と言われたときの血圧が150/100mmHg以上だった

・副腎に腫瘍がある(CT検査で偶然見つかったなど)

血液検査、負荷試験、画像検査(CT・MRI)、副腎静脈サンプリング(副腎に近い血管にカテーテルを通して直接採血する)を行い診断します。

血液検査ではアルドステロンの濃度やレニン活性、カリウムの値などを調べます。

アルドステロンの濃度とレニン活性の比(アルドステロン濃度/レニン活性)が200を超える場合、原発性アルドステロン症が疑われ、負荷試験や画像検査に進みます。

負荷試験にはカプトプリル試験、フロセミド立位試験、生理食塩水負荷試験、経口食塩負荷試験などがありますが、当院ではカプトプリル試験を行っています。

カプトプリルというアルドステロンの分泌を抑えるお薬を内服してもらい、60分、90分後に採血をしてアルドステロンの濃度とレニン活性を調べます。カプトプリルを飲んでもアルドステロンの分泌が抑えられない場合、原発性アルドステロン症と診断されます。

副腎に腫瘍や過形成(腫瘍のように異常な細胞ではなく、正常な細胞が増えている状態)がないかCTやMRI検査で調べます。

【治療】

片方の副腎に腫瘍がある場合手術を行いますが、両方の副腎に腫瘍がある場合や画像検査で腫瘍が見つからない場合、あるいは何らかの理由で手術ができない・手術を希望しない場合はミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン)というお薬で治療します。

 

<参考文献>

原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021

Reincke M et al. Diagnosis and treatment of primary aldosteronism. Lancet Diabetes Endocrinol. 2021;9(12):876-892.

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